夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【小舟に乗って・・・】



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【小舟に乗って・・・】


きらめく水面から 時おり水しぶきが跳んできて

陽に照らされた肌に 心地よい。

ボクを乗せた小舟は ゆらゆら揺れながら 川を下って行く。


ゆらゆら ゆらら・・・

何処へ行くのか?

ゆらゆら ゆらら・・・

何故 この小舟に乗っているのか?


揺りかごのような ゆらめきの中で 記憶もゆらゆらと おぼろげだ。

川の両岸は 色とりどりの紅葉が見事だ。

秋の陽射しは 初めは優しいようでいて。 。。 やがて 焦げつくような暑さを感じて。。

ボクは小舟を岸につけることにした。


ここは何処だろう?

川沿いに走る道路は いつか通った記憶がある。

喉が渇いた。

この道路に沿って行けば コンビニくらいあるだろう。

時計を見たら もう午後の3時になろうとしていた。

昼前に家を出てから かなり経つ。

自分でも気づかないうちに 小舟の中で居眠りでもしていたのか。。ずいぶん長いこと小舟に乗っていたようだ。

やっと道の端っこに 小さなコンビニが見えてきた。

思わずほっとしながら。。。欲しい時に欲しい物が手に入るConvenience (便利な)Store(店)とはよく言ったものだと思った。


『いらっしゃいませ~。』

元気な店員の声に迎えられ 店に足を踏み入れて ドリンク用の冷蔵庫があるコーナーに向かった。

その前に立って ボクは思わず絶句した。

『何だこれーーー!?』

どれもこれも いつも購入してるおなじみの商品。

でも。。でも。。。商品名が読めない!?

って言うか。。。文字が日本語じゃない!!。。英語でもない???

頭が一瞬パニックになって そして気がついた。

文字が逆だ。。反転している。

何かのイベントのウケ狙いなのか?。。と思って 周りの商品を見回した。

全て 全て!!。。。店のレジの横に貼ってある広告や雑誌コーナーの雑誌に至るまで反転文字。。逆さまだ。

夢でも見ているのか?

ボクは頭が混乱したまま とりあえずジュースのボトルをつかんでレジに向かった。

『ありがとうございます。 185円になります』

1000円札を出した。

すると 店員の顔が 微妙に変化した。

『お客様。。これはお使いになれませんが。。。』

『えっ? どうして?』

『これはオモチャのお札ですか? それとも。。』

店員の瞳が疑うような光を帯びて ボクを見据えた。

『えっ?あっ。。ごめんなさい。 間違えました。 これいりませんから!!』

ボクはジュースをレジに置いたまま 店を飛び出した。

いったい何がどうなっているのか。。頭の中は混乱したまま そのまま走って走って 。。息がきれるまで走り続けた。


喉がからからに乾いて 焼けつくようだ。

ようやく見つけた公園の水飲み場で 喉を潤しながら ボクは周りを見回した。

子供達が賑やかに遊ぶ。。。これといって何の異常も感じられない普通の公園の風景。

でも。。

◆◆公園と書かれた文字は逆さ文字だ。

ここは何処だ?

いったい ボクは何故こんな世界にいるんだ?

公園のベンチに腰を下ろして 頭の中を整理しようとした。

家族は?

ボクの家族は この世界に存在しているんだろうか?

急に恐怖がやってきて。。

携帯を取り出して 震える指で家に電話した。

通じない。

呼び出し音さえ聞こえないってことは。。この携帯は使えないってことか?

公衆電話を探して あちこち歩き回り ようやく探し当てた公衆電話。

公衆電話のナンバーも。。。もちろん逆文字だ。

恐る恐る【この世界では使えないコイン】を投入して家の番号を押す。

ルルルルーーー・・・

ルルルルルーーーー・・・

繋がった!!

心臓がバクバクと音を立てて 喉から飛び出しそうだ。

『はい。 ●●でございます。』

『かーさん!!かーさん!!俺 。。俺。。』

『何 ?どうかしたの? 今日はサークル仲間と飲みにいくから夕飯は要らないって  さっき電話してきたばかりじゃない』

『。。。!?』

『もしもし? どうしたの?』

『いや。。何でもない。 夕飯要らないって確認だけ』

『あまり遅くならないようにね〜。 この頃は 男だからって安心できるご時世じゃないんだから〜。』

『うん。。わかった。』

そう言ってボクは受話器を置いた。

。。。ボクの帰れる家はこの世界には 無い。

ボクはショックに打ちのめされて 道端の縁石に座り込んだ。

もし。。この世界に住むもう一人のボクとこのボクが出逢ったらどうなるんだろう?

同次元に存在を許されるはずのない存在なのだから。。。

考えるのも怖くて ボクは頭を抱えてうずくまった。



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『もしもし どうかしたのかね? 気分でも悪いのかね?』

声をかけられて ふと顔を上げると 陽に焼けた赤ら顔の老人が自転車を傍に目の前に立っていた。

『いえ。。何というか。。もう何が何だか訳がわからなくて』

『ほぉ。。訳がわからぬと?私でお役に立つことがあれば ご相談にのるが』

ここはボクの住んでいた世界じゃないって言っても  この人は信じてくれるだろうか?

頭のおかしい男だと思って警察に通報するんじゃないか?

『いえ。。大丈夫です』

そう言ってボクは立ち上がって とりあえず歩き出した。

不審者だと思われないように。。できるだけ普通に。。普通に。

この頃は変な事件が多いせいか ちょっと挙動不審な奴を見かけると すぐ警察に通報だもんな。

でも。。いったいボクは何処に行けばいいんだ?

どうやったら元の世界に戻れるんだ。

とりあえず さっきの川沿いの道を遡ることにした。

ボートに乗った場所に戻れば 何か戻る方法を思いつくかもしれない。

てくてく歩き出してしばらくすると 先程のコンビニの前に出た。

思わず店の中を覗くと 警官が二人レジのところにいて あの店員と話をしている。

心臓がバクバク音を立て出した。

ボクが偽札を使おうとしたと通報したに違いない。

逃げるようにそのコンビニを通り越して 早足で歩き始めたボクに 遠くから 『おい。。そこの君ーーー!!待ちなさい!!』 と声が聞こえた。

追いかけてくる気配。

聞こえないふりをして 次の角を曲がり ボクは猛然とダッシュした。

走って 走って 。。

角をいくつも曲がったところで ボクの目の前に誰かが立ち塞がった。

もう駄目だ。

目の前が真っ暗になって 観念した時に。。

『早く後ろに乗りなさい!!』

聞き覚えのある声に 思わずその顔を見ると さっきボクに声をかけてくれた老人が自転車に乗ってそこにいた。

ものも言わずに ボクは自転車に飛び乗った。

老人が思い切りペダルを踏むと もの凄い勢いで自転車は走り出した。

ボクは振り落とされないように 老人の背中にしがみついた。

老人とは思えないほどの自転車のスピードに驚きながら この世界での唯一の知り合いに出逢えたような安堵感に ボクの胸は震えた。


『もう大丈夫じゃろ』

川沿いの道から遥か外れたスーパーの駐車場に自転車を停めて。。『ここで待っていなさい』と 店の中に消えた老人は パンと飲み物を手にして戻ってきた。

手渡されて お礼を言うのももどかしく ボクはパンにかぶりついた。

もの凄くお腹が減っていることに その時初めて気がついたんだ。

ガツガツとパンを食べるボクを にこにこしながら見ていた老人は。。

『よかったら話してみないかね?』。。と。

それで ボクは言葉を選びながら ぽつりぽつりとこの奇妙な体験を話し始めた。

精神異常者だと思われないように 落ち着いて 落ち着いて。

『。。。ふむ』

『ボクの話を信じていただけますか?』

『ふむ』

『お願いです。 信じてください!!嘘じゃないんです!!』

『戻ろう。 時間が無い』

『えっ?』

『君がボートに乗った場所に 戻るんだ』

そう言って老人はボクに自転車に乗るように促すと 川沿いのあの道に向かってまたもの凄いスピードで自転車を走らせた。

夕焼けに染まる雲の色が 夜を迎えるために 刻一刻と変わり始めている。


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小一時間も走っただろうか?

何となく見覚えのある景色が見えてきた。

『すみません。 止めてください!!』

『ここっ!!。。たぶんここ!!』

そこには何艘もの小舟が舫ってあった。

『ここで本当に間違いないか?』

『はい。ここで水辺の景色を眺めているうちに 思わずボートに乗り込んでしまったんです』

『でも。。それから先の記憶が曖昧で。。。いつボートの舫いを解いたのかさえ覚えていないんです』

『ボートに乗りなさい』

『えっ? また乗るんですか? そしたら。。また同じことの繰り。。返し。。』

『うるさい!!時間が無いんだ!!早く乗れーーっ!!』

それまで温厚だった老人が急に怒鳴ったので びっくしたボクは 慌てて小舟に乗り込んだ。

『いいか? 水面を見てごらん。 何が見える?』

『。。えっ? 水面???。。水だけだけど。。』

『こらっ!!ちゃんと見ろ!!水面に映っとるじゃろ!!』

『あっ!?そうか!!えーーっと。。橋。。紅葉した木々。。』

『その水面に映る世界が。。君の住む世界だよ』

『えぇぇー?』

『こちらの世界は。。そう。。君の住む世界とは真逆の鏡のような世界。』

『鏡の世界?。。。どうしてボクはこちらの世界に来てしまったんですか?』

『それは私にもよくわからないが。。君はこの水面の景色を見て何を思っていた?』

『。。。何を?』

『思い出してごらん。それが答えかもしれん。そしてそれが元の世界に戻るヒントじゃろうな』

ボクは 必死で思い出そうとした。

今日も大学をサボって ぶらぶらしてた。

せっかく入った大学なのに。。いまひとつ馴染めない。

電話に出たこっちの世界の母さんが もう一人のボクは今夜はサークルの飲み会云々って言ってたけど。。

ボクの住む世界のボクは 人付き合いも面倒くさくて サークルに出たことなんてほんの数えるほどだ。

鏡の異世界のもう一人のボクは どうやら性格も真逆にできているらしい。

実際のボクは どうしようもなく自堕落で面倒くさがりやだ。

何のために日々を生きているのかさえ 疑問に思えてくるほどに。

だから。。

だから。。そうだ!!

この水面に映る まるきり同じだけど 真逆の世界に心惹かれたんだ。

『思い出したかね?』

『たぶん。たぶん。。。ボクは ボクの住んでいる世界から たとえ一瞬でもいいから逃げ出したかったんだと思います。

この水面に映る景色が 風に吹かれては ゆらゆら揺れては消えて また現れて

。。。あまりにも美しくて儚げで。。。

岸辺から眺めていると その世界に引き込まれるような錯覚を覚えました。

ボートに乗り込んだら もっとその世界に近づけるような気がしたんだと思います。

それで。。。それからのことは良く覚えていません』

『もう陽が沈む。 陽が沈んだら。。。映し出された水面の君の住む世界も消える。 そうしたらもう戻れない』

『えっ!?本当ですか? でも明日の朝になれば また同じ景色が。。』

『駄目なんだ!!今日という日は 今日一日限り。。二度と戻らない。 明日になれば この景色もまた同じものではない』

ボクはびっくりして 水面を眺めた。


帰りたいのか? 元の世界に?。。ボクは自問自答した。

ろくに学校にも行かず 勉強はそっちのけで ゲームや漫画本にうつつをぬかす自堕落な毎日。

そんな自分が嫌で嫌で仕方ないのに。。自分を自分で変えることさえできない。

家族のために毎日頑張ってる 父さんや母さんに申し訳なくて。。

この頃じゃ 何のために生きているのかさえわからなくなっているのに?


帰りたいのか?ボクの世界へ?

。。。もちろんだ!!

それでも こんなボクにも 笑顔で迎えてくれる家族がいるし友人もいる。

少なくとも どんなに小さくても安らげる居場所が在る。

でも。。この世界には ボクの居場所なんか無いんだ!!


ボクの思いを見透かすように 老人が微笑んだ。

『君の世界にお帰り。 ここで生きていくということは。。今までの君の全てを否定し捨てることなんだ。

それは とてもとても 辛く淋しいことなんだ』

ボクは はっとして老人の瞳を覗きこんだ。

夕陽に照らされた老人の瞳は 心なしか濡れているように見えた。

『ところで 君にお願いがあるんだ。 元の世界に戻ったら。。この住所を尋ねてみてくれないか?』

そう言って老人は ギクシャクした文字で書かれた住所の紙切れをボクに手渡した。

『読み難くて悪いな。 もう長いこと君の世界の文字を書いてないんでね。 

そこにもし女の子。。いや。。たぶん30歳くらいの女の人が住んでいたら こっそり写真を撮ってきてくれないかね。

写真は このボート置き場のベンチの下に貼り付けておいてくれればいい。

真逆の世界だが。。。時空を超えて同じ物が存在する世界だ。たぶんそれぐらいは可能だろう。

ま。。実験みたいなもんだな』

ボクは目を丸くして老人を見つめた。

『まさか。。。あなたも!?』

『あの頃の私は。。。眠る時間もろくにないほど仕事に追われ 疲れ果て 心も体も限界だった。

イライラして毎日のように家族に当り散らし。。夫婦喧嘩ばかりで 挙句に妻は浮気。。。離婚寸前だった。

逃げ出したかったんだよ。。あんな世界から』

ボクは返す言葉もなく 老人の口元を見つめ 続く言葉を待った。

『この世界に来て 解放されたと思った。

だが この世界にもう一人の私が存在するのなら。。絶対近寄ってはいけないと思い住む場所も遠くに移った。

娘には会いたかったが 会うことで抱えるリスクの方が高いと思って諦めた。

何もかも失って。。。独りになった。

自由になったと 最初は思っていた。

だがね。。。私も もう歳だ。

この頃頻繁にね。。夢に 見るんだよ。

私の元住んでいた世界の夢を。

家族の夢を。。。幼い娘の笑顔を』


『だから君は 帰りなさい。

君を大切に思ってくれている人の居る世界へ。

その世界こそが 君の唯一の宝物なんだ』


ボクは 言葉も無く老人を見つめ続けた。

そうして思わず手を差し伸べた。

『一緒に帰りましょう!!もしかしたら ボクと一緒なら帰れるかもしれません』

老人は一瞬 複雑な表情を浮かべたが。。。

黙ってボートに乗り込むと ボクの目の前に座った。

夕陽に染められた空に 夕闇が迫ってきていた。

『時間が無いぞ。 強く想え。 水面に君の想いを投影させろ!!』
 
『はい!!』

ボク達は 少しずつおぼろげになっていく水面の景色を黙って見つめた。

帰りたい!!

帰りたい!!

この風景の在る 僕の世界に。。。

母さんや父さん。。妹。

かけがえの無い 大切な人たち。

帰りたい!!

帰りたい!!


胸が熱くなり

水面を必死で眺めているうちに 視界がぼやけてきた。

涙でぼやけているのか夕暮れのせいなのか わからない。

涙を袖でぬぐって ふと前を見たら。。。

老人の姿が消えていた。

『えっ?えっ?!』

周りを見回しても 老人の影も形も無い。

『まさか?まさか?』

ボクはボートから飛び出すと 道路に出て走り出した。

見慣れた風景。

いつものコンビニが目の前に現れた。

店の自動ドアが開くのももどかしく。。店に入って周りを見回して。。。

『やったーーーっ!!』

大声を上げたボクに 店内にいた店員や客がびっくりしてボクを見る。

そんな事はお構いなしに そのまま店を飛び出して 猛ダッシュで我が家に向かう。


『ただいまーーー!!』

『お帰り~。今日は遅かったわね~。』

夕飯を作ってる いつものエプロン姿の母さんが振り向いた。

その途端。

まるで堰が切れたように 急激な感情が襲ってきて。。。

ボクは。。『かーさん!!』と言ったまま 母さんの背中にしがみついて泣き出した。

『かーさん!!かーさん!!。。。うわあぁーーーん。。。』

『ちょ。。ちょっと 何よ!!どうしたの!?』

『うわぁーーーーん。。。うわあぁーーーん。。。』

騒ぎを聞きつけた妹が 『お兄ちゃんどしたの?』と 猫のペろ吉を抱いてやってきた。

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を妹に向けて。。。

抱きつこうとしたら 『やだーー!!きもーーーっ!!』と言って逃げられた。



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あれから 一週間が過ぎた。

ボクは老人に渡された住所を頼りに■県のある街を訪れた。

首都圏に近いせいか 近年ベッドタウン化したその街は まるで正確に作られたジオラマみたいだ。

紙切れに記された住所の家は街のはずれにあり 老人が書いたものと同じ苗字の表札がかかっていた。

『盗撮するのは気がひけるし。。まさか 鏡の世界で暮らすお父さんがあなたの写真を欲しがっています。。なんて言えないよな~~。』

探し当てたことにほっとしつつも。。なんと話をしたらいいのか散々悩んだボクは。。。

ボクの大学の名前と適当なサークルの名前を使うことにした。

彼女が買い物に出かけるのを待って ボクはスーパーの中で声をかけた。

『すみませーん。 ボク。。●●大学の▲▲サークルに加入しているものなんですが。。』と学生証を見せる。

『今回 所属しているサークルの日本全国の家族の食事に関する統計調査で 日本各地でいろんな年齢層の皆さんにインタビューしてるんです。

ちょっとしたご質問と今夜の夕食の材料を持っていらっしゃるところをお写真に撮らせていただけませんか?』

彼女は最初びっくりしたみたいだったが。。。

『学生さん?遠くからこんなところまで大変ね~。』と言いながら快く写真を撮らせてくれた。

『今夜は何人分のお食事を作るんですか?』

『三人分。。。と言っても。。私と私の母の分と帰宅の遅い夫用に簡単な夜食かしら。』

『ご主人のお夜食まで用意されるなんて。。大変ですね~。』

『男の人は仕事で心身すり減らしている上に お付き合いでお酒も飲むし。。。 少しでも体に良いものをと考えているんですよ』

『やはり野菜中心ですか?この地方独特の体に優しい郷土料理がありましたら教えていただけませんか?』

そう言いながら。。ボクはメモを取りながらうろ覚えの栄養学の知識を総動員して食事に関する会話を続けた。

『ご家族の健康のことを本当によく考えられて勉強されていらっしゃいますね。 まさに主婦の鑑みたいな方ですね!!尊敬します。 もしかしたらお母さんもきっと お父さんにそのようにされていらしたのでしょうね。』

『父のことはよく覚えていません。 父は。。。ずっと昔に亡くなりましたから。』

そう言い放った彼女の表情には 触れてはならない頑なな想いが込められているようだった。

『失礼しました。 ご協力ありがとうございました。』

そう言って頭を下げ その場を逃げるように去りながら。。ボクはなんとも形容しがたい想いに胸が塞がれるような気がした。

違うんです!!

お父さんは。。。

あなたのお父さんは 生きているんです!!

鏡の世界で 独り。

会いたくて

あなたに 会いたくて

本当は。。お父さんも あなたに会いたくてたまらないんです。


・・・『だから君は 帰りなさい。

  君を大切に思ってくれている人の居る世界へ。

  その世界こそが 君の唯一の宝物なんだ』・・・


老人の言葉が不意に蘇り

声に出して叫びたい気持ちを抑えて 振り返ると。。

買い物客の流れに取り残されたように ぽつんと。。

ぽつんと立ちつくしたまま 彼女がこちらをまだ見ていた。

ボクは 手を振った。

彼女も。。。つられるように手を振った。


それからまた数週間してあの場所を訪れた。

ボート小屋のベンチの下に貼り付けた写真は。。いつの間にか消えていた。

その代わりに『ありがとう』とギクシャクした文字で書かれた紙が貼り付いていた。



あの老人の想いは 鏡の世界に閉じ込められたまま もうこの世界には戻らない。



ゆらゆら ゆらら・・・

今日も 水面に映る世界は

ゆらゆら ゆらら・・・

妖しく 儚げに 揺れて。。。

あなたが 異世界の扉を開けるのを

手招きしながら待っている。


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猫ちゃんお元気ですか?私はすっかり肌寒くなった気温の変化についていけず、着たり脱いだりしています(笑)このところ、いろいろと多忙だったので少々疲れが。。昨日の休みは好きなことをやって気分転換しましたよ^^おかげで今日は元気!・・・とはいかず、気分転換の続きがしたくてたまりません。。。(--)

今回の物語、読んでいてうるっとしました。
今の現実から離れた遠い場所、違い処にいったらもっと楽に生きられるのではと思うこともよくありました。

私も実際 辛い思い出の地を離れ、今の場所にうつってきた一人ですが^^;
今となっては懐かしく思い出します。それというのもきっと今の場所にすっかり慣れてしまったからかと思います^^
ただ、場所が変わっても、自分自身は変わることはできないとつくづく思いました。
この物語を読んで、此処とは違う何処か。。。を求めてその何処かで根を張ることができるのはやっぱり自分自身の心の種を育てなくちゃだめなんだって思いました。

ちょっぴり悲しくて切ない物語で今日は癒されました♪
2016-11-04 Fri 16:53 | URL | ぽぷり #-[ 内容変更]
ぽぴちゃん おはようございま~す♪^^

> 猫ちゃんお元気ですか?私はすっかり肌寒くなった気温の変化についていけず、着たり脱いだりしています(笑)このところ、いろいろと多忙だったので少々疲れが。。昨日の休みは好きなことをやって気分転換しましたよ^^おかげで今日は元気!・・・とはいかず、気分転換の続きがしたくてたまりません。。。(--)

11月に入って急に寒くなってきましたね。

お元気ですか?

ぽぴちゃんは 年末に向けてのお仕事が盛りだくさんなのでしょうね?

夢ねこは 週によって超忙しかったり ど暇だったりです。

こちらは ここのところず~~っとお天気が悪くて。。落ち葉をそのままにしておくと芝生がみんな駄目になってしまうので 冬になる前に庭の片付けとかしたいのに なかなかできなくて困っています。
 
ミニ菜園の土作りもしたいのに~。。って雨空を眺めてため息ついてます。

雪が降ったらもうできないもんね~。 

>
> 今回の物語、読んでいてうるっとしました。
> 今の現実から離れた遠い場所、違い処にいったらもっと楽に生きられるのではと思うこともよくありました。
>
> 私も実際 辛い思い出の地を離れ、今の場所にうつってきた一人ですが^^;
> 今となっては懐かしく思い出します。それというのもきっと今の場所にすっかり慣れてしまったからかと思います^^
> ただ、場所が変わっても、自分自身は変わることはできないとつくづく思いました。
> この物語を読んで、此処とは違う何処か。。。を求めてその何処かで根を張ることができるのはやっぱり自分自身の心の種を育てなくちゃだめなんだって思いました。
>
> ちょっぴり悲しくて切ない物語で今日は癒されました♪


秋雨が続く毎日。

いつも通勤で近くにある公園を横切っていくんだけど。。。

公園の真ん中にバスケットコートがあるのね。

そこに雨が降ると。。コートの上が濡れて鏡みたいになって周りの風景と自分が映ってて。。

思わず足を止めて見入ってしまいます。

まるきり同じだけど全てが逆の不思議な世界。

もしかしたら。。鏡の世界の自分も足を止めてこちらの世界を覗いているのかな?。。な~んてね♪^^

詩や物語を読むと。。

その物語の中に 思わず自分を投影して いろんなイメージが生まれてくるよね?

【 此処とは違う何処か。。。を求めてその何処かで根を張ることができるのはやっぱり自分自身の心の種を育てなくちゃだめなんだって思いました】

ぽぴちゃんが読んで。。感じとって。。イメージを広げて 

こんな言葉が生まれて。

それを受け取った夢ねこが またぽぴちゃんの言葉で自分の中でイメージを繋げていく。

ぽぴちゃんのこの言葉は 【夢ねこの心の種は どんな風に育ったんだろう?】って自問自答する機会を与えてくれました。


ぽぴちゃん いつも inspireさせてくれてありがと~~♪

まだまだお仕事で忙しい日々が続くと思いますが たまには息抜きしてご自愛くださいね♪v-238


2016-11-06 Sun 10:15 | URL | 夢ねこ★ #-[ 内容変更]
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