夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【失楽園】



2013+Toront+067_convert_20131029052352.jpg

Photo:ROM:http://www.rom.on.ca/en/exhibitions-galleries/galleries/world-cultures/sir-christopher-ondaatje-south-asian-gallery



【失楽園】


昔むかしの その昔

まだ大地が 透きとおった水と濃い緑で覆われていた頃のこと。

深い森と それに連なる草原には

いつも暖かな光と やさしい風が吹いていた。 


ある日 高い高い空の彼方から

キラキラ虹色に光る 小さな星の欠片(かけら)が落ちてきた。

星の欠片は 緑に覆われた大地の真ん中にある 大きな樹の根元に落ちて

昼の光の中でさえ キラキラと不思議な虹色の光を放っていた。


最初は遠巻きに怖々と その欠片を見ていた森の鳥や獣達も 

やがて少しずつ そろりそろりとその欠片に近づくと

あまりの不思議な美しさに

我先にと自分のものにしたがった。


それを見た森の神とも呼ばれる大きな樹の主は

誰が一番 それを持つのにふさわしいかと皆に尋ねた。



『ボクが持つのにふさわしいさ。だってボクは一番速く この草原を駆けることができる。』


『いえいえ。。それはワタシ。ワタシの翼なら この地平線の向こうまでひとっ飛び。』


『速く走れたとしても力が無くちゃ意味が無い。オレ様ならこんな大きな岩だって抱えることができる。』


『アタシは力は無いけど すばしこさにかけたら誰もワタシにはかなわないわよ。』


ボクが!!

ワタシが!!

。。と森の獣達は口々に如何に自分が優れているかを自慢した。


すると森の神が言った。


《あぁ。。それぞれに得意なものがあり過ぎて

これではちっとも決まらぬではないか。

そなた達は皆それぞれに 素晴らしいものを持っているのはよくわかった。

しかしこれでは比べようもない。

なるほど。。この星の欠片は不思議な力を秘めておるようじゃ。

見るものの心を捉えて放さなくするようじゃな?

普段は仲の良いそなた達が この欠片に魅入られて

我がものにしようと騒ぎだす。

困ったものじゃ。

それでは こういたすとしよう。

そなた達の中で一番何も持たぬもの。。。

そのものにこれを与えようではないか。

そして これを手にしたものは 争いを避ける為にも

この森を出て行く。。という約束で。

どうやらこの欠片には 不思議な魔力があるようじゃからな。》



その言葉を聴いた途端 いままで騒がしかった森が一瞬静かになり

そして

ザワザワと獣達は顔を見合わせ 囁きだした。


『この森を出て行くだって?』


『今のこの暮らしを捨てて?』


『冗談だろう?確かにあの欠片は欲しいが。。。この森の外の世界は暮らしやすいとは限らないぞ。』


『あの欠片は それほどまでに価値のあるものなのか?』



すると今度は そんなものは要らないというもの達が騒ぎ始めて。。


『アタシは要らないわ。だってこの翼で こんなに自由に空を飛べるんですもの。』


『オレ様だって要らないぞ。この牙も鋭い爪も強いものの象徴さ。力の無いもの達と一緒にしないで欲しいね。』


『ボクだって要らないぞ。この風のような足の速さを持っているだけで充分だよ。』


そう言って獣達は 次々と欠片の傍を離れていった。

やれやれ。。と森の神はため息をついた。

そして とうとう最後に残ったものに樹は声をかけた。


《さてそなたはどうじゃな?

そなたが持っているものを聞かせておくれ。》


『私には。。。

。。私には何もありません。

私には 空を自由に舞う翼も

風のように 草原を駆け抜ける足も

鋭い爪も 牙も力も無い。

ただあるとすれば。。

あんなことをしたい こんなことをしてみたい。。と夢を見ることぐらいでしょうか?』


それを聴いて 森の獣達はいっせいに笑い出した。


『あっはっははは~~!!夢を見るだって!?夢じゃ お腹はいっぱいにはならないわよ~!!』


『夢?夢なんか見てるから。。おまえの足は芋虫みたいにいつものろいんだよ!!』


笑い声が静まるのを待って 森の神が言った。


《ふうむ。。。

なるほど どうやらこれはそなたに与えるのが一番良いようじゃな?

さぁ これをおとり。

そしてこれを持って この森に続く草原の彼方にいるであろう そなたの仲間を探すが良い。

これはきっと そなたにたくさんの【明日の夢】を見せてくれるであろう。

しかしながら

全てのものに光と闇があるように この星の欠片がそなたに与えるものにも光と闇が存在する。

たとえ煌く光に照らされていたとしても 己の足元に在る【陰】の存在を決して忘れてはならぬぞ。

【明日の夢】にも 光と闇があることを心せよ 。》


私は恐る恐る 樹の根元に近寄ると

その虹色に光る星の欠片を そっと拾いあげた。


すると。。。

私の体は 不思議な暖かさと眩しい光に包まれた。


《さらばじゃ。緑の大地の友よ。》


森の神の声が頭の中で響いて 私は眠るように意識を失った。





ぽつーーーん。


『冷たいっ!!』

朝露が 頬に落ちて その冷たさで私は目を覚ました。

どうやらこの大きな樹の下で一夜を明かしたようだ。

なんだか霞がかかったような頭の中。

昨日のことさえ よく思い出せない。

長い長い夢を見ていたような気がする。


起き上がって見上げる空は 朝の陽の光が

雲を黄金色に染めあげている。

色とりどりの小鳥達が 朝の光の中で歌を歌っている。

賑やかな歌だなぁ。

なんと歌っているのだろう?

遥か昔に聴いたような気がするが。。思い出せない。


大きな樹だなぁ。

まるで この森の主のような風格がある。

不思議だな?

なんだか とてもとても懐かしい気がする。


私は誘われるように その大きな樹をそっと抱きしめると

『ありがとう』と呟いた。


そして 朝焼けに染まる東の地平線目ざして歩き始めた。




こうして人は

【智慧】という明日の夢を手に入れる代わりに

森と草原の言葉を失くし

緑の大地と そこに棲む獣達と別たれた。




DSC00145_convert_20091123045333.jpg





だから 今でも人は

ふいに

訳もなく 懐かしくなるのだ。

ふいに

訳もなく 還りたくなるのだ。



遥か 遥か 彼方の

時の地平線の向こう。


その 時の地平線の彼方にある楽園は


暮れゆく空の 茜色の下

寄せては返す 波の生まれるところ

霧深い森の 緑に覆われた帳(とばり)の奥深くにあって


《還っておいで かえっておいで》。。。と

人の魂の記憶の琴線をかき鳴らす。


その音が響くと

人は

人が失くしてしまった 遥か古(いにしえ)の言葉の欠片を探しに

訳もなく 旅立ちたくなるのだ。



2013+oct+12+078_convert_20131029052546.jpg



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この記事のコメント

ひかりの中に影があり、
影の中にひかりがある。
夢を見る力を私も持っていただろうか。
夢を見る力はまだ残っているだろうか。
夢の中で夢を見ながら、
夢を探している様な気がしてくる。
2013-10-29 Tue 08:04 | URL | ray #.EmBUCEI[ 内容変更]
とってもよかった。。光と闇。形あるものには必ず影があるように、見えないものにも影がある。喜びの影に悲しみ。成功の影に挫折、失敗・・。どちらかにだけに囚われては何かを見失いますよね。魂を癒す自然って本当に不思議な力をもってるから。。いつもそばにいたいですね。いろんな事を考えさせられて一言では表せないけど・・ゆめ猫さんの物語り、また楽しみにしています♪
2013-10-29 Tue 09:58 | URL | ぽぷり #-[ 内容変更]
夢ねこさん こんにちわぁ^^

うわぁ~~~すごい!
この才能をここだけにしておくのは勿体ない~
やっぱり絵本とか 思い切って出しましょう!!!!

なるほどなるほど
空を見て・・・海をみて・・・木を見上げて・・・
懐かしくなったり  癒されたり 切なくなったり
なんとも言えない不思議な想いに胸がいっぱいになったりするのは
遥か遠い昔の記憶がそうさせてるのかもしれませんね~

素晴らしいお話ありがとう(*^_^*)❤❤❤
2013-10-29 Tue 12:42 | URL | みるきー #E45E/J4E[ 内容変更]
rayさん こんにちは~♪^^

ちょっとご無沙汰しちゃいました。

PCの不調で ず~~っとネットも満足にできないこと約二ヶ月。

FC2も久しぶりにUPしたので。。。コメントいただけてすごく嬉しいです♪^^

> ひかりの中に影があり、
> 影の中にひかりがある。

何気なくrayさんのお名前の部分をクリックしたら。。

【恋華想】のブログにリンクされていて。。(今まで気づきませんでした~~!!^^;)

そこに光と影のことが♪^^

『合わせ鏡のような想い』とは

途切れることの無い想いを映して 映して。。。終わりを知らず。

夢ねこ。。

rayさんの紡ぐ不思議な言の葉の世界に

ゆったり漂わせていただきました~♪^^

> 夢を見る力を私も持っていただろうか。
> 夢を見る力はまだ残っているだろうか。
> 夢の中で夢を見ながら、
> 夢を探している様な気がしてくる。

あ。。

これ。。夢ねこも感じます。

こうやって言葉に表わすこと自体が まるで夢を見ているような感覚。

この言葉は いったい何処からやってきたのだろう?

目覚めて。。何も持っていない自分に気づいて焦りまくり。。みたいな~?

夢ねこにとって 

このPCの画面の向こう側は夢世界なのかもしれません。

rayさん いつも素敵なコメントをありがとうございます♪e-51
2013-10-29 Tue 14:51 | URL | 夢ねこ★ #-[ 内容変更]
ぽぴちゃん こんにちは~♪^^

早速 遊びに来てくださってありがと~♪

今回はちと長い物語になっちゃったんだけど。。

お付き合いいただけて嬉しいです。

デッサンの方進んでいますか?

鉛筆だけでするのね?

作品を拝見するのが楽しみな夢ねこです♪^^

> とってもよかった。。光と闇。形あるものには必ず影があるように、見えないものにも影がある。喜びの影に悲しみ。成功の影に挫折、失敗・・。どちらかにだけに囚われては何かを見失いますよね。魂を癒す自然って本当に不思議な力をもってるから。。いつもそばにいたいですね。いろんな事を考えさせられて一言では表せないけど・・ゆめ猫さんの物語り、また楽しみにしています♪

トップにある絵を見た時に。。

『あぁ。。遥か昔は みんなひとつところで ひとつの言葉を共有していたんだなぁ~。』

そんな風に思って

もしこのバランスを崩すものがあるとしたら 何だろう?

な~んて想像してたら。。

こんな物語ができちゃった♪^^


この物語を読んで いろんなことを感じ取ってくださる。

【光】の感覚。

【闇】の感覚。

【遠い記憶】の感覚。..etc。

それをぽぴちゃんの世界に投影させて。。

たくさんたくさん 感じてくださって ありがと~♪e-51
 
2013-10-29 Tue 15:14 | URL | 夢ねこ★ #-[ 内容変更]
> 夢ねこさん こんにちわぁ^^

はい♪みるきーさん

こんにちは~♪^^

ご無沙汰しちゃって ごめんね~!!(^^;)

気づいたら。。。

もう10月も終わりじゃない!?

うわぁ~~!!冬が来る~~~!!

焦ってあちらの【秋のアルバム】をUPしてる夢ねこです。

>
> うわぁ~~~すごい!
> この才能をここだけにしておくのは勿体ない~
> やっぱり絵本とか 思い切って出しましょう!!!!

えへへ♪^^

お褒めいただいて光栄です。

夢ねこにしてみれば。。。

みるきーさんの写真に添えられた 何気ないひと言が

ぐっと響くんですけど?

ほら♪。。写真集出しましょう~♪^^

>
> なるほどなるほど
> 空を見て・・・海をみて・・・木を見上げて・・・
> 懐かしくなったり  癒されたり 切なくなったり
> なんとも言えない不思議な想いに胸がいっぱいになったりするのは
> 遥か遠い昔の記憶がそうさせてるのかもしれませんね~
>
> 素晴らしいお話ありがとう(*^_^*)❤❤❤

そう♪そう♪

この感覚って何なのかなぁ~?

。。っていつも不思議で仕方が無いの。

ずっとず~~っと昔から知っている感覚。

誰に教えてもらったわけではないのに。。知っている。

。。それでお話にしちゃいました♪^^

これって。。みるきーさんの写真にもある感覚ですよね?

いつもありがと~♪e-51
2013-10-29 Tue 15:31 | URL | 夢ねこ★ #-[ 内容変更]
久しぶりに夢のゆりかごでウトウトと…。

「失楽園」パッと見のタイトルに?渡辺淳一を思い出したのは(笑)
本当に馬鹿な私の発想で、神秘な森のお話なのにごめんなさいです。

無欲の尊さを教えていただきました。
欲望は手に入れたいと、もがけばもがくほど、
するりと手のひらからこぼれていくのではないかしら…
自然体で待つことの大切さも、あるのかもあるのかもしれません。

陰になったり、日向になったりしながら、たおやかに生きていきたいものです。




2013-10-30 Wed 23:03 | URL | 涼 #-[ 内容変更]
涼さん こんばんは~♪^^

もう十月も終わりですね。

夢ねこ。。昨日は家の周りの落ち葉を掃除したのですが。。

集めても集めても まだまだ山のように残っていて

今日は腰が痛いですぅ。(^^;)

昔なら この落ち葉でお芋など焼くところなんでしょうが。。

今のご時勢では 煙が出ると消防車がやってきそうですね~♪


> 久しぶりに夢のゆりかごでウトウトと…。
>
> 「失楽園」パッと見のタイトルに?渡辺淳一を思い出したのは(笑)
> 本当に馬鹿な私の発想で、神秘な森のお話なのにごめんなさいです。

あははは~♪^▽^

実は。。。

夢ねこも このタイトルにした時に あの【失楽園】を思い出しました。

一世を風靡しましたものね~♪^^

人間は智慧を得て その暮らしはたくさんのものを持つようになったのだけれど。。。

その半面。。本当の【楽園】を失ってしまったのではないか?。。と。

そんな思いから やっぱりこのタイトルにしようということになりました♪

>
> 無欲の尊さを教えていただきました。
> 欲望は手に入れたいと、もがけばもがくほど、
> するりと手のひらからこぼれていくのではないかしら…
> 自然体で待つことの大切さも、あるのかもあるのかもしれません。
>
> 陰になったり、日向になったりしながら、たおやかに生きていきたいものです。

はい♪

人というものは不思議なもので。。。

持てば持つほどに。。所有すればするほどに。。

それを失うことに恐怖を覚える生き物なのかもしれませんね。

自然の中に生きるもの達は その日を生きることにのみ一生懸命で

たとえ全てを失っても また一から始めることに何の躊躇もありませんね。

そんな姿が羨ましくさえ思える夢ねこです♪

涼さんの撮られる 自然のもの達の写真の中には

そんなたくましさや強さがあふれていますね。

いつもありがとうございます♪e-51

2013-10-31 Thu 03:55 | URL | 夢ねこ★ #-[ 内容変更]
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