夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【夢の国から】



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【夢の国から】


雪が またひとしきり強く降りはじめた。

彼女は 店の入り口のドアをちょこっと開けて  空を見上げた。

開けたドアの隙間から 肌を突き刺すような風が雪を伴って店の中に吹き込んできた。

『おぉ寒い!!こりゃぁ。。今日はもう店じまいしたほうが良さそうだゎ。。』

そう言いながら ふっとため息をついて 自分の小さな店の中に目をやった。

『時代遅れなのかしらねぇ〜。。。昔はこんな雪の降る日でも お客さんは引きも切らさず来てくださったのに。。』


亡くなった両親から この小さな店を譲り受け

彼女なりにいろいろ工夫を凝らしてやってきてつもりだが。。。

時の移り変わりとともに  客の嗜好もどんどん変わっていった。

今の彼女には もうあれこれ工夫を凝らして店を立て直そうなどという元気も無くなり ただひっそりと たまに訪れる客を待つ 開店休業みたいな状態が続いていた。

『そろそろこの店も 閉めようか。。ね? 

そうしてこんな雪ばかり降る冬の長い街から 太陽さんがいつも顔を出している海辺の街にでも引っ越そうかしら?』

独り言を呟きながら ガタピシと鳴る建て付けの悪い店のドアを閉めようとした時に。。。

『すみません!!もう閉店ですか?』

その声にびっくりして声のした方向を見ると

頭から肩から。。全身真っ白な雪だらけになった男の子が店の前に立っていた。

『びっくりしたぁーーー!!雪だるまが喋ったのかと思ったゎ〜!!』

『お店の場所がわからなくて。。。あちこち探して。。迷っているうちにこんなになっちゃったんです』

男の子は体についた雪をパタパタふりはらい ぶるぶるっと体を震わせた。

ドサッ!!

店の入り口に 小さな雪の塊がこんもりとできた。

『さぁさぁ。。どーぞどーぞ♪ もう少しで閉めるところだったから。。。うちを見つけられて良かったゎ~』

男の子は店の中に一歩入ると ぐるりと店の中を見渡した。

『さて。。ところで何をお求めですか お客様?』

彼女が尋ねるのを待っていたかのように 男の子は口を開いた。

『この店には。。不思議な缶詰があると噂に聞きました。いったいどんな缶詰なんでしょうか?』

彼女はにっこり笑って 男の子の顔を見つめた。

『うちはね。。。【夢の缶詰】を売ってるの。

ほら。。この棚にある虹色の缶詰。

でもこの缶詰を食べて見る夢は人それぞれ。。。本当に千差万別でね。。。

お客さんの思い通りの夢が見れるとは限らないのよ』

『。。。そんな。。』

『だけどね。。【夢の缶詰】で夢を見るのは  ほんの一瞬だけど。。

それで心に光が灯る人もいるの。

それで何処かの誰かさんが 少しでも元気になれたら この商売やってきた甲斐があるというものよ〜♪』

視線を床に向けてしばらく考え込んでいた男の子は やがて顔を上げて 彼女の顔を覗き込んで言った。

『いただきます!!この棚にある奴。。。これで買える分全部ください』

そう言って男の子は 小銭のたくさん詰まった布袋を 肩にかけていた大きなキャンバス製のバッグから取り出した。

『あら〜♪ 素敵なバッグね?キャリーバッグかしら?』

『はい。ボクが小さい頃は このバッグに入れられてよく散歩に出かけたんです』

『もしかしたら。。このバッグの持ち主さんに素敵な夢を見させてあげたいのかな?』

『はい!!ボク。。ボク。。何にもしてあげられないんです。。ボクの大好きな人なのに。。』

そう言った男の子の瞳からは みるみる涙が溢れ出した。

『わかったゎ。。。この夢の缶詰で あなたの大切な人が 少しでも幸せになれたら 私も嬉しいゎ』

彼女はそう言うと 棚にある缶詰をぎゅうぎゅうバッグの中に詰め出した。

『あのぉ。。。ボクそんなにお金を持っていないんですけど。。。』

『大丈夫。お金のことは心配しなくていいから~♪』

『えっ?だって。。。』

『商売っていうのはね〜。。ただものを売るだけじゃないのよ。

売るものに想いが乗っかってこその商いよ♪

うちの商品は。。その時々で値段が上下することになってるのよん♪』

そう言って彼女はにっこり笑って 【夢の缶詰】でパンパンに膨らんだバッグを男の子に手渡した。

『ついでに。。マタタビ酒もおまけにつけといたわよ〜♪』

『えっ?駄目ですよーー!!ボクまだ 未成年です!!』

『あははは♪ 今すぐ飲めなんて言ってないわよ〜。

もうちょっと寝かして。。そうね。。あなたが大人になった頃がちょうどいい飲み頃になると思うゎ♪』

『ありがとうございます。本当に。。本当に ありがとうございます!!』

男の子は 何度も何度も頭を下げて。。雪が降りしきる夕暮れの田舎道を帰って行った。

彼女は 白い景色の中に消えていくその姿を見送りながら。。。

『夢使いが夢使うとき 心の鎖は解き放たれる』

ぽつんと呟いた。



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まるでミルクのような 濃くて白い霧がかかっている。

何処から来たのか 何処へ行くのか?

いったい どれくらいの時を この乳白色の霧の中で過ごしてきたのか。。

わからないままに 白い白い霧の中をあてもなく 彷徨っている。

『にゃー。。。にゃーーー。。。』

霧の中から微かに猫の鳴き声が聴こえた。

何処? 何処にいるの?

白い霧の中を 鳴き声のする方向に 一歩一歩 そろそろと進むと。。。

やがて朧げにテーブルと椅子が霧の中に見え

ふいに男の子の姿が現れた。

『こんにちは♪ お待ちしていました』

『こんにちは。。。えっと。。あなたは?』

『みゅうといいます』

『私は。。。あら?。。私の名前って何だったかしら?』

男の子はくすっと笑うと

『どうぞお掛け下さい。あなたの為に ご用意いたしました』

そう言って男の子が指し示すテーブルの上には 皿とナイフとフォーク そして

たくさんの小さな虹色の缶詰が乗っていた。

『缶詰。。ですか?』

『はい。この缶詰は【夢の缶詰】なんです。あなたの見たい夢を見させてくれる不思議な缶詰。。』

『私の夢?。。。私は何を見たいのかしら?』

『過去の夢  未来の夢 恋の夢 冒険の夢。。。夢にもいろいろありますよ』

『私。。自分がわからないんです。自分を探さなくちゃいけないみたい』

『じゃぁ。。とりあえず食べてみましょうか?

もしかしたら あなたの探しものが見つかるかもしれません』

キコキコキコ。。。

そう言って男の子は素早く缶切りで缶詰を開けると 皿の上に取り出した。

『さぁ どうぞ』

『いただきます』

ひと口 ふた口・・・

『いかがですか?』

『美味しい!!すごく美味しくて。。何だか とても。。とても懐かしい味』

そう言った彼女の瞳に 微かに光が宿った。

『気に入っていただけたようで嬉しいです。もうひとつ開けましょう』

そう言って男の子は次から次へと缶詰を開けだした。

ひとつ ふたつ みっつ・・・

彼女は それをひたすら食べる。

まるでそれまで食事をすることを忘れていたような食べっぷりだ。


『私。。名前を思い出したゎ。』

『私。。やりたいことが。。夢がたくさんあったの』

『でも いつの間にか。。毎日の生活に追われて。。

夢があったことさえも忘れてしまって

まるでロボットのように ただ命令されたことを繰り返すだけ

疲れて 疲れて。。眠れなくなって 食べれなくなって。。

他人が怖くなって

何もかも 何もかも

もう生きてることにも嫌気がさして。。それで。。。』

彼女の目から みるみる涙が溢れだした。

『頑張り過ぎちゃったんですね?』

彼女は こっくりと頷いた。

『頑張るってステキなことです。

でもね。。。

その【頑張る】は あなたの何処から出てきていたんですか?

頑張ったら。。あなたは幸せになれたんですか?

あなたの周りの人は幸せになったんですか?』

『。。。』

『あなたの頑張りは。。もしかしたらあなたの自己満足ゆえの 【頑なな心の出っ張り】だったのかもしれない。

ガチガチに凝り固まった頑固な心の出っ張りは。。。心が凍ると脆いんですよ。

ちょっとハンマーで叩くと粉々に砕け散ってしまう 氷の結晶みたいなもんです』

『頑張ることが。。自己満足?

私はただ。。。みんなに喜んでもらいたくて。。』

『あなたは優しい人だから。。嫌と言うことができないんです。

でもその優しさにつけこんで 無理難題を押し付ける奴もこの世の中にはごまんといる。

そんな奴らのために 自分の心まで殺して頑張る必要なんか無いんです。

【頑張る】の使い道はいろいろです。

あなたは もっと自分を大切にすることに頑張るべきです。

あなたは まず自分自身を幸せにしてあげなさい。

自分を幸せにできない人が 他人を幸せにできますか?

自分が幸せでいることが やがては周りを幸せにしていくんです 。

あなたの顔が いつも晴れやかで その明るさが周りを幸せにする。

それが本当の【顔晴(がんば)る】っていうことだとボクは思います』


涙は ぽたりぽたり。。と皿の上の缶詰料理の上に落ちた。

すると皿の上の料理が きらきらと虹色に輝き出した。

『ほら。。。最後のひと口をどうぞ。

ちょっと塩辛いけど。。最高のお味だと思いますよ♪』

にっこり微笑みながら 少年は言った。

彼女は 皿に残った虹色に輝く【夢の缶詰】を食べた。

すると 彼女の周りを取り巻く濃い乳白色の霧が 静かに静かに消えていき。。

やがて 霧の向こうに古びた扉が現れた。

『ボク。。。あなたにお会いできて 大変嬉しかったです。

お帰りはこちらのドアからお願いいたします』

と 男の子は古びた扉を指差した。

男の子に別れの挨拶をしようと 彼女が振り返った時には 男の子の姿は消えていた。

彼女は 重く軋むその扉を ゆっくりと開けた。



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『先生。。先生ーーーっ!!』

看護士の呼ぶ声に 慌てて病室に飛び込むと。。

ベッドの上で寝ていた眠り姫は 目を開けていた。

『おい!!至急ご家族に連絡を!!』

看護士は 慌てて病室を飛び出していった。

『気がつかれましたか?ご気分はどうですか?どこか痛むところはありませんか?』

『。。病院?。。私。。。どうしてここに?』

『幸い発見が早かったので大事に至らずに済みました。

然しながら 処置は完璧だったのに。。

なかなかお目覚めにならないので心配しました。』

眼鏡の奥の瞳が優しく彼女を見つめていた。

そして 彼女は唐突に思い出した。

あの絶望の瞬間を。

彼女の体が震え始め。。。嗚咽が その口から漏れ出した。

髪に白いものが混じる医師は 彼女の肩に優しく手を置いて言った。

『大丈夫ですよ。

安心してください。

もう。。大丈夫ですよ。

私は無神論者だが。。。きっと神様があなたに【生きろ!!】。。と言われたのでしょうね。

それくらい奇跡が重なって あなたは今 ここにいるんです。

あなたが目覚めた朝。。。今日は クリスマスなんですよ。

素晴らしいクリスマス・ギフトをありがとう』


ほどなくして 病室は報らせを聞いてやってきた彼女の家族や友人で大騒ぎになった。




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『。。よかった。。。』

彼は弱った体をベッドに横たえて 微笑んだ。

あの【夢の缶詰】を手に入れるためには 実体をここに置いて【夢の国】に旅に出なくてはならない。

実体をここに長く置き続けることは 彼にとっては命と引き換えにするほど危険なことだった。

もうすぐ 彼女は戻ってくる。

もうすぐ。。もうすぐ 彼女に会えるんだ。

彼は 微笑みながら 深い深い眠りに落ちていった。



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『みゅう!! みゅう!!』

『あなたがあんなことになってから。。眠ってばかりいて。。ずーーっと食事をしないのよ』

『えっ?どうして。。。そんな。。』

『でも。。この子のお陰で あなたは命をとりとめたのよ。

尋常じゃない猫の鳴き声がする不審な電話を受けた警察が 念のため近くをパトロール中の警察の人にチェックしてくれるように頼んだら。。。

あなたがバスルームで。。あんなことに。

この子が警察に電話したなんて考えられないけど。。

落ちるはずのない位置にある電話が床に転がっていて。。通話状態になっていたんだから。

みんな奇跡だって。。』

そうして彼女は 思い出した。

夢の中で出会った 男の子のことを。

『みゅう。。おまえ。。私の命を助けてくれた上に。。

あの霧の中から 私を連れ戻してくれたのね?』

彼女は 愛おしそうに 猫の体を撫でた。

久しく食事をしていないその体は 骨と皮ばかりになってガリガリに痩せていた。

『お願いみゅう。。。食べて!! 私はもう大丈夫だから!!』

猫は弱々しく目を開けると。。

彼女がすり潰して手のひらに乗せた 小さな魚のすり身を食べた。

そして もっとくれとばかりに彼女の掌を舐め始めた。

『にゃ〜。。』

『食べた!!みゅうが食べたーーー!!』

『なんだかこの子は 全てをわかってるみたいね?

もしかしたら言葉の通じる人間同士よりも。。。猫との方が 言葉というフィルターをはずして 本当に心と心で会話することができるのかもしれないわね。』

『そうね。。人間は言葉で嘘をつくけど。。動物は嘘をつかないわね。。。』

『あの吹雪の夜に あなたが泥だらけの生まれたばかりの子猫を拾ってきた時は。。

ママは猫を飼うなんて大反対だったけど。。

もしかしたら。。。この子は あなたの命を救うために あなたを守るために この家に来たのかもしれないって 今は思えるわ』

彼女は 猫の温もりを掌で確かめながら 小さな声で言った。 

『ねぇ。。ママ。

私。。会社を辞める。

今まで いっぱい応援してくれたのに。。。ごめんね』

『そう。

。。。あなたの好きなようにしなさい。

謝る必要なんてないのよ。

あなたの人生だもの。

たった一度きりの 人生だもの。

ママはね。。笑ってるあなたの顔が 一番好き』

彼女は にっこりと母親に微笑むと そっと猫を抱き上げて言った。

『みゅう ありがとう。

私はもう迷わないから 安心して。

でも。。もし また霧の中で迷っちゃったら

あの時みたいに 美味しい缶詰をご馳走してくれる?』

『えっ?缶詰?。。えっ?何の話?』

『うふっ♪ みゅうと私の。。。ひ・み・つ♪』

猫が彼女の腕の中で 喉を鳴らしながら鳴いた。

『うにゃ~ぁ♪』



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★ご訪問者さま★


まいどありがとうございます♪


今年も一年【夢ねこ★不思議缶】を応援してくださって感謝です。

毎月一度の更新をしてきましたが。。

そろそろ【不思議缶】の賞味期限切れも ちらほら出始め

在庫も少なくなってまいりました故

来年からは不定期に。。。

いっそう気まぐれに。。

適当に。。カタチも態度も変えて。。に

。。なるかと思われます。

猫の本質に戻るべく ゆるり ゆるり ゆぅるり・・・と参ります♪

今後とも どうぞよろしくお願いいたします♪^^


Wishing you a Merry Christmas and a Happy New year♪  夢ねこ★




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