夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【想い色】



【想い色】



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どーーーん!!

ずっしーーーん!!



心臓を揺さぶるような 大きな音を立てて

そいつはやってきた。


びっくりして 思わず目を閉じたボクは。。。恐る恐る目を開けた。

両腕がやけに重いと思ったら

ボクの両腕には 黒くて大きな塊が ずっしりと乗っかっていた。


『うわっ!?何だこれーーっ?』


慌てて振りほどこうとしたけれど。。。

いくらやっても そいつはボクの両腕にべったりとまとわりついて

振りほどくことも 引き剥がすこともできなかった。


仕方なくボクは そいつを抱えて歩き出すことにした。


『こんな変なものがくっついちゃった。

どうしよう。。

周りの人が見たらさぞ気味悪いだろうなぁ。

どうしたら こいつから逃げることができるんだろう?』


歩きながらボクの頭の中は その黒い物体のことでいっぱいになった。


ところが。。。

周りの人は どうやらこれが見えないらしい。

いや

たまに見える人はいるみたいなんだが

ボクの方をチラッと見て 慌てて視線を逸らすか

そいつを抱えてるボク自身が まるで気味悪い物体そのものでもあるかのように

眉をひそめて足早に離れていく。


引き剥がすことを諦めたボクは そいつと暮らすことになった。

それまでのそれなりに楽しい生活は一変して

寝ても覚めても そいつのことばかり考えていた。

不思議な事に 仕事や日常の事をこなす時には 

そいつは何だか小さくなって目立たなくなるくせに

ひとりになると そいつは 

待っていましたとばかりに。。。ぐーーーん!!と巨大化するのだ。


ある日 ボクはもうそいつを抱えて歩くことに疲れてしまって

公園の入り口の植え込みの脇に座り込んでしまった。

ボクの腕の中のそいつは ずいぶん大きくなって 僕の上半身を覆うくらいになっていた。

公園には色とりどりの花が 咲き誇っているのに

今のボクには それを綺麗だと思う感情さえ何処かに消えうせてしまったみたいだ。



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『どうしたの?それ。。なぁに?』


頭の上で小さな声がしたので 思わず見ると。。。

髪の長い小学生くらいの小さな女の子と その母親だろうと思える人が立っていた。


『あぁ。。あなた達には こいつが見えるんですか?
 
こいつが 重くて。。重くて。。もう耐えられないんです。

自分ひとりで抱えていくには無理だと思っていても。。誰にも相談できないんです。』


『あら~。

それは大変ねぇ。。私が少しはお手伝いできるかしら?何処に運ぶの?』


『ママ~。ワタシもお手伝いできるよ~!!』


『ご親切にありがとうございます。

でも。。無理なんです。

こいつは。。ボクの腕にくっついて離れていかないんですよ。』


『あら?そうなの?』


そう言って女の人がつと差し出したその手に そいつの一部が。。ぴよょーーーん!!と乗っかった。


『あらら~~!?まるで。。歓んでこっちに来たみたいだわ。

ちょっとぺたぺたしてるけど。。。それほど悪い感じじゃないわよ。』


『おもしろ~い♪

ママ~。ママ~~!!ワタシも~~。』


女の子が手を差し出すと。。。

そいつは勢いよくジャンプするみたいに ぴょん ぴょーーーん!!と女の子の腕に乗っかった。


『えへへっ♪なんだか。。。くすぐったいよぉ~♪』


ボク達三人は そいつを抱えて歩き出した。


『何処まで運べばいいのかしら?』


『よくわからないんですけど。。。そいつが教えてくれるような気がするんです。

あの。。大丈夫ですか?重くないですか?』


『平気よ~。あなたこそ大丈夫?』


道行く人の中で 【見える】人は。。。

もの珍しげに あるいは気味悪そうに ボク達を見ていたけれど

その親子のお陰で 

ボクは以前より その視線が気にならなくなったし

ずっしりと重いそれを抱える腕に

なんだか力がみなぎるような気がしてきた。


『おぉぃ。何をしてるんだ?』


前から来た男の人に声をかけられて ボク達は足を止めた。


『あっ♪パパだ~っ!!』


女の子が駆け寄った。


『いったい。。それはなんだ?見るからに。。そのぉ。。気持ち悪いものだが。。。』


男の人が気味悪そうに眉をひそめて尋ねた。


『いえね。。。この人が重くて困っていたので ちょっと運ぶお手伝いをしているんですよ。

それでね。。』


女の人がそう説明し始めるのを遮って 男の人がボクに向かって言った。


『キミ。。

それが何だか知らんが。。抱えている以上 キミにとっては大切なものなんだろう?

だったら人に運ぶのを頼むより 最後まで自分で抱えていったらどうだい?

もう夕暮れだ。

私達家族には 他人の手伝いをしてる暇など無いのでね。 

これから皆で食事の時間なんだが。』


もっともだ。


ボクは返す言葉も失って 下を向いてしまった。

腕の中のそいつが。。。急にずっしりと重くなった。


すると 女の子が言った。


『パパー。

これね~。。この黒ちゃん不思議なの~。

最初は何だかずっしり重くて ぺたぺたしてたのに。。

このお兄ちゃんとお話して笑ったりしてたら

ワタシの腕の中で 気持ち良さそうに

のびたり 丸くなったりするんだよ♪

何だか。。。まるで子猫みたいなんだよ♪』 


『ふ。。うん?。。どれどれ?』


興味をもった男の人が ちょっとつつこうとしたら。。。

そいつはびょ~~~~~ん!!とおもいっきり伸び上がって

その腕の中に飛び込んだ。


『うわぁあぁーーー!!

な。。なんだこりゃーーーっ!?

気持ち悪い。

おいっ!!こいつを何とかしろーー!!』


そいつは。。男の人の腕の中で みるみる膨れ上がって 見るからにずっしりと重くなった。

ボク達はあっけにとられた。


女の子が不思議そうな顔をして。。

『大丈夫だよ。怖くないよ。』

そう言いながら そっと撫でてやると。。。

そいつは きゅっと首をすくめたかのように

ひと回り小さくなった。

ボク達は 驚いて顔を見合わせた。



それでボク達は 四人でそいつを抱えて歩き出した。

空は夕暮れの茜色。

ボク達四人の影法師が。。長くながーーくなってボク達の後をついてくる。


女の子が【しりとり遊び】をしようと言い出したので

最初は不機嫌そうに黙り込んでいた男の人も

やがてボク達の【しりとり遊び】に加わった。


『きつね』

『ねこ』

『こじか』

『かんぼじあ』



『パパ。【かんぼじあ】。。って何?』


『国の名前だよ』



『あいすくりーむ』

『むしめがね』

『ねずみ』

『みとこんどりあ』



『パパぁーー!!みとこんどりあ。。って何?』


『ミトコンドリアは細胞に含まれている微生物だよ。』


『細胞って。。なぁに?微生物って???』


『えーっとね。。。』


『もうっ!!あなた!!わけのわからない言葉をしりとりで使わないで下さい!!』


ボク達は 輪になってみんなで笑い出した。

ボクは 笑いながら

なんだか 嬉しくて 嬉しくて仕方がなかった。

何処の誰ともわからない親子と

この黒い奴を一緒に抱えてることが

なんだか ずんぶん昔から決まっていた約束事のような気がしてきて。。


ありがとう。

ありがとう。

ボクと出逢ってくれて

ボクを助けてくれて

本当に ありがとう。


そんな想いがこみあげてきて

思わず目頭が熱くなり


ぽっ。。つん。

涙がこぼれた。


すると 不思議な事が起こった。

ボク達の腕に抱えていたそいつが。。。

急に小さくなったと思ったら

みるみる黒い色がグレーになり。。

白になり。。


やがて きらきらと光る透明な粒々になって

ふわり

ふわり

ふわ~~~りと 空に向かって昇っていった。




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『あっ!?』


『あらら~~!?』


『あれぇ~!?』


『おぉっ~!?』


ボク達は 一斉に驚きの声をあげて

そのきらきらの粒が昇っていく空を見上げた。


『。。。』

 
『きれい~~♪』


『ほんとう!!ゆらゆら きらきら。。夕陽に照らされて。。

まるで波間に光る 光の雫みたいね?』


『うむ。こりゃ不思議だなぁ~。』



ボクは 自分の両腕をしげしげと見つめた。

さっきまでの重さも 気持ち悪さも

一瞬で消えてしまっていた。


そして 気づいた。


消えてしまったことが嬉しいはずなのに。。

その重みを懐かしがっている

もうひとりの ボクがいることにも。


『何処にいったのでしょうかね?』


誰に訊くとも無しに ボクはつぶやいた。


『さぁ。。何処かしら?

もしかしたら。。。あの子が生まれた場所に戻ったのかもね。』


女の人が 独り言を言うようにつぶやいた。


『あの子。。ですか?』


『不思議なの。

抱えているうちに。。。

この重さが。。何だか愛おしくなってね。

あなたから離れないっていうことは。。

ひとりじゃ歩けない

まるで赤ちゃんみたいな気がしてきたのよ。』


『そしたらね。。

この【重いもの】は あなたが【重い】って思ってるだけであって

本当は あなたの心の何処かにある【想い】。

【想いもの】なんだって思えてきたの。』



その言葉を聞いた途端

ボクの視界は ぼやけて。。


『ありがとう。。。ござい。。ま。。す。』


三人に向かってお辞儀をしたまま

ようやくそう言うのが 精一杯で

ボクの両目から とめどなく

涙が

あふれて。。。

あふれて。




女の子が

『だいじょうぶ。だいじょうぶ。』

その小さな手で ボクの背をさすってくれた。


男の人が

『ほらっ。よぉーしっ!!うちにきて一緒に飯を食おう!!』

そう言って

肩をぽん!!と叩いた。



空に昇ったきらきらは

もう夕暮れの空にとけて。。。


それは 

もうたとえようのない 優しい夕暮れの【想い色】になって

やがて 

静かに 静かに 消えていった。



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PHoto☆わかこ☆






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