夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【クリスマスギフト】



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【クリスマスギフト】



寒いなぁ~。。凍えそうだよ。

もうすぐクリスマスだっていうのに きらきら煌くイルミネーションは

ちっとも楽しくなんか感じられない。

何だか 冷たい氷の結晶の煌きみたいだ。

綺麗なのに 凍りつくように冷たい。

そんな風に感じるのはきっと。。恋も仕事も何もかもうまくいかないからだろう。

ボクは重い足をひきずって いつもの公園のベンチに腰をおろした。

暮れゆく夕暮れの空に 青みがかった針のように細い三日月が架かっている。


まるで切れ味の鋭い鋭利なナイフみたいじゃないか。

その刃でさっくりと切られたら。。。

もしかしたら痛みも無く綺麗に死ねるんじゃないか?

そんなことを思いながら懐からウィスキーの小さな小瓶を出して

ボクはちびちびと飲みだした。


『にゃ~♪』

鳴き声がした。


『おっ?お前か?しばらくぶりだなぁ~。元気にしていたかい?』

『にゃ~♪』

『ごめんよ。今日は餌を持っていないんだ。そのかわり。。これやるよ。』

酒の肴にとウィスキーと一緒に購入したスモークミートの切れ端をぽいっと投げてやると

野良はさっさとくわえて 近くの廃屋にあいた穴に消えた。


ほどなくまた姿を現して。。。

『にゃ~♪』

『おいおい。。落ち着いてここで食べたらどうだ?ほらっ。。もう一切れ。』

その切れ端もさっさとくわえて廃屋へ消える。


『変だなぁ~。いつもは目の前で食べるのに。警戒心が強くなったのかな?

野良はいろんな災難に遭うからなぁ。

あいつと初めてこの公園で逢った時も、小学生たちに苛められてたっけ。』


『にゃ~♪』

『はい。はい。ど~ぞ。』


そうやって何回か同じことを繰り返すうちに。。。ふと思い当たった。

『そういえば前に会った時 あいつお腹が大きかったぞ。

妊娠していたのかな?

もしかしたら子供たちに餌を運んでいるのか?

この寒空に餌探しも大変だろうなぁ。。』

そう思ったら 何だか食べるのに躊躇してしまって

スモークミートを手にしたまま 野良のやってくるのを待つボクがいた。


『にゃ~♪』

『お前はいいよな。ひとりぼっちのボクと違って家族がいる。

帰れば温かいぬくもりが待っている。

ボクの部屋には誰も居ない。

暗くて冷たい四角い空間が待っているだけだ。

餌探しは大変かもしれないけど。。。それがお前の生き甲斐かもしれないな?

今のボクには生き甲斐なんて無い。

生きていることさえ何だかつまらないんだ。

ねぇ。。少しの間でいいからボクの酒に付き合ってくれないかい?』


すると野良は ボクの言うことが解ったかのようにベンチの上にちょこんと座った。


『彼女にさぁ。。言われたんだ。

「あなたのストレスの捌け口にしないで!!あなたの馬鹿馬鹿しい愚痴を聞くのはもうたくさん!!」

そうして。。。出て行っちゃった。

ボクは確かに弱い人間だよ。

仕事でも要領が悪くて怒られてばかりだ。

世の中にはいろんなことがあるけれど。。。

ボクが良いと思ってやることは 周りの人間にとってはどうでも良い事で

ボクにとっては胸がチクンと痛むことが 周りの人間には当たり前なことなんだ。

彼女はそれが世の中の仕組みなんだっていうけれど。。。ボクにはそれが解らないんだ。』

『にゃ~~~♪』


『夢を持って田舎から出てきたんだ。

田舎にいた時は。。。都会はきらきらする夢の詰まった風船みたいだった。

思えば。。。

青空に浮かぶ色とりどりの風船に憧れてる時の方が幸せだったのかもしれないな?』

『にゃ~~♪』

ボクは野良を相手に懐かしい田舎のことをとりとめもなく話し出した。


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暮れ往く空が。。青から藍に。

冴え冴えとした星の光が ひとつ またひとつ。

やがて闇がひっそりとやってきて。。ボクと野良の周りを包みだした。

さっきまであんなに寒かったのに

なんだか ふぅわりふぅわり暖かくなってきた。

酒がまわってきたのかな?

気持ちがいいな。


 
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ゴーーーッ!!と大きな音がするので 慌ててあたりを見回すと

闇の中に一筋の光。

大型バスがやってきた。

行く先表示には【●●行き】とある。

ボクの田舎じゃないか!?

田舎行きのバス。。こんなところを走っていたっけ?

まるで田舎に帰りたいと願っていたボクの願いに応えるように バスが目の前に止まった。


プッシューーー!!

ドアが開く。

お金あったっけ?

慌ててボクは財布の中身を確かめる。

あぁ。。これだけあれば間に合うだろう。

バスに乗る前に野良にさよならを言おうとしたのだけど。。。見当たらない。

『元気で暮らせよ~~。ボクはもうここには戻らないかもしれないけど。。子育て頑張るんだぞ~!!』

そう目の前に広がる闇に言い放って ボクはバスに乗り込んだ。


バスの中はとても静かだ。

乗客たちは 互いに言葉を交わすでもなくひっそりと座っている。

静かで何だか厳かで。。。

不思議で静謐な空気に満ちている。


『田舎に帰ったら。。まず何処に行こう?昔住んでいた家はもう無いけど。。。学校や商店街はそのままだろうか?』

ボクは田舎の風景を懐かしく想い浮かべながら 何だかウキウキしながらバスの発車を待った。


ところが。。。ボクが乗り込んでからもう半時も経つのにまだ発車しない。

運転手がバスを降りて何かしている。

何かトラブルだろうか?

ボクは気になってバスを降りて 運転手に尋ねた。


『どうかしたんですか?』

『いやぁ~。。困っちゃったよ。猫がねぇ。。』

『猫がどうかしたんですか?』

『バスの下に入り込んじゃってさぁ。。。

追い出すんだけど すぐにまた入り込んじゃってね。

引っ張りだそうとすると手を引っかかれるし

このまま発車したら。。ひき殺しちゃうよ。』

『ボクが手伝いますよ。』


そう言ってボクはバスの下を覗き込んだ。

『うにゃ~♪』

野良がバスのタイヤの前にちょこんと座り。。ボクに向かって甘えた声をあげた。
 

『おい!?野良なのか? お前。。危ないじゃないか!!なにやってるんだよーー!!』


ボクは野良を抱き上げて 公園のベンチの上にそっと置いた。

『せっかく田舎に帰る決心がついたんだ。頼むよ。邪魔しないでくれよ。』

そう言ってちょっと睨むと。。。


『にゃ~♪』『にゃ~♪』『にゃ~♪』

小さな猫の大合唱。

鳴き声のする方を慌てて見ると 子猫が三匹タイヤの前に陣取っている。

『おい!?お前たち野良の子供たちか?可愛いなぁ~。おいで♪』


両腕にそっと抱き上げた子猫たちは

まるで 小さな小さな 毛糸玉のかたまり。

たよりなく ふにゃふにゃで

ふわふわで あたたかい。


この温もり。。懐かしい。

何処で出逢った懐かしさだろう?

何処だっただろう?

遠い。。とおい

昔。。むかしの。。。あたたかさ。


胸に抱き上げて頬ずりをして 思わずつぶやいた。

『母さん。』


・・・ぽつん。


何故だろう?

涙がふいに零れ落ちた。


『お客さんの猫かい?困るよ邪魔されちゃ~。お金は返すからさ 猫たちとここに残ってよ。』

運転手はそう言ってボクの手にお金を握らすと

さっさと運転席に戻ってバスを発車させた。


ゴーーーーーー!!

闇を切り裂くように照らすバスのライトが ものすごい光の渦になって

一瞬に消えた。

ボクはそれを不思議な思いで見つめながら。。。

胸に抱く子猫たちの温かなぬくもりを

まるでたった今生まれたばかりの【命】のように感じていた。


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『 T君ーー!!T君!!』

『。。。。?』

『T君!?気がついた?』


真っ白な光。

暖かい部屋。

ここはどこだろう?

ボクの手を握っているのは。。。?


『T君。良かった。気がついたんだね。先生 もう大丈夫ですね?』

そう言って一人の女性が白衣を着た人と何か話してる。

看護士さん?

ここは病院なのか?

なんだか頭がぼんやりとして何が何だかよくわからない。


『T君でしょ?覚えてる?Mだよ。

キミ。。公園のベンチの上で凍死寸前で発見されたんだよ。』

公園のベンチ?

あぁ。。野良と一緒にいた。

バスが来て。。。田舎に帰ろうとして。。帰れなかったっけ。

記憶を辿ろうとしても何が何だかよくわからない。

それよりも。。


『M。。さん? えっと。。どなたでしたっけ?思い出せないんですけど。。。』

『中学で一緒だったMだよ。ここで看護士をしているの。

キミが救急車で担ぎ込まれてきた時は似ている人だなぁ~。。って思ったけど まさか本人だとは思わなかったよ。』

『えっ!?あのMちゃん?救急車で。。?』


Mちゃんの話から判断すると。。。

どうやらボクは公園のベンチで酒に酔ってそのまま眠り込んでしまい 凍死寸前の状態だったらしい。


『ねぇ。。猫がいなかったかな?一緒にいたはずなんだけど。』

『あぁ。。あの三毛猫ね?

あのね T君が発見された時。。。通りがかりの人が公園の暗がりから猫の鳴き声がしきりにするから

変だなぁ~って思って覗きに行って見つけたそうよ。

この寒空に寝てるT君の体の上に
 
三毛猫がT君を抱きしめるみたいに寄り添っていたそうよ。

だから凍死しなくてすんだのかもって言ってた。』

『じゃぁ。。あのバスは?』

『バス?』

『田舎に帰ろうと思って 公園の横から乗るつもりだったんだ。』

『田舎行きのバスなんて あそこから出てるわけないじゃない。夢でも見たんじゃないの?』


そっか。

そうだったのか。

あのバスは。。。

田舎に帰るバスじゃなくて。。。【還る】ためのバスだったのか?

そうだ。。あの時、確かにボクは【還り】たかったんだ。

もう何もかもお終いにしてしまいたかったんだ。

あいつらそれを知って。。。



『ねぇ。。田舎に帰りたいの?』

『えっ?うぅ。。ん。 なんとなくね。』

『私も久しぶりに帰ろうかなぁ。。って思っていたんだ。

高校を出てこっちに来てから 何だか面倒くさくて田舎には殆ど帰ったことがないの。
 
それなのにこの頃 急に田舎の空気が吸いたくなっちゃった。

そうだ!!今度の休みに二人で帰らない?

クリスマスも近いし。。これが自分へのクリスマスギフトだってことにしない?

ひとりだとなかなか帰るきっかけがないでしょ♪』


そう言ってにっこり笑って ボクの手を握り締めたMちゃんの手は

限りなくふわふわで優しく温かく。。。

何だか鼻の奥がツーーンとしてきて

ボクは

夢の中で抱き上げた子猫たちのぬくもりを ふと思い出した。



クリスマスギフトかぁ。。。


明日 あいつらに猫餌をどっさり持って行ってやろう。



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