夢ねこ★不思議缶

夢ねこ★ 空想・妄想の缶詰は。。。いかが?

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【小さな森で】



夢

 
【小さな森で】



生まれた時には

兄弟達が たくさんいたよ。


ぽかぽか太陽さんに 見守られて

お母さんの大地から

美味しい 美味しいご飯をもらって ぱくぱくぱく。


優しい月の光の中 すやすやすや眠り

風と戯れ

小鳥達の褥(しとね)となって
 

何年も。。そう。。何年も。。。

僕達はどんどん どんどん大きくなった。



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ある夏の日に 

兄弟の中でも飛びぬけて背高のっぽの兄さんが

別れを告げた。


しばらくすると 空を飛ぶ小鳥達が教えてくれたよ。


『兄さんは 隣町の大きな電信柱になって。。。たくさんの家に光を灯してるよ』


あぁ。。そうなのか。

さぞかしりっぱな電信柱になったのだろう。

ボクは ちょっぴり羨ましくなった。


秋風が吹く頃に ぽっちゃり太目の姉さんが

別れを告げた。

しばらくすると 風に吹かれて飛んできた落ち葉が教えてくれたよ。


『姉さんは りっぱなダイニングテーブルになって。。。たくさんのご馳走を並べているよ』


あぁ。。そうなのか。

食いしん坊の姉さんのことだ さぞかし満足していることだろう。

ボクは ちょっぴり羨ましくなった。


がっしり逞しい弟は どこかの家の大黒柱となり

肌が綺麗だった妹は 素敵な鏡台になった。


冬が来る前に

たくさんのボクの兄弟達は

あちこちの村や街に行ってしまった。

そこでいろんな姿に身を変えて

人間達を楽しませたり 歓ばせたり。。。


兄弟達の活躍を風の噂で聴くたびに

ボクは ちょっぴり羨ましくなった。


ボクの出番は いつやってくるのかな?

ボクは何に 変身できるのかな?


箪笥かな?

机かな?

それとも それとも

わくわく どきどき

ボクは たくさんたくさん 夢を見た。


森に雪が降って

兄さんや姉さん 弟や妹達の

残していった切り株の上に 

ふんわりと降り積もる。


皆がいるときは 毎日楽しくお喋りしたのに。。。

切り株は もう何も語らない。


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春が来て 

夏が来て 

秋が来て 

冬が来て

何度も 何度も季節は巡るけれど

ボクは 忘れ去られたようにそこにいて

ただただ 枝を伸ばし 緑の葉をつけ

相変わらず 風や鳥達と 遊びながら暮らしていた。


ある日 森に人間達がやってきた。

ボクの周りを大きな機械が走り回って。。。

あっという間に 兄弟達の残した切り株は影も形もなくなり

周りは平らに開けて ボクはただひとりで ポツンとそこに立っていた。


作業服を着た人間とスーツを着た人間がやってきて

ボクを見上げて言った。


「邪魔ですよねこの樹。どうしますか。切り倒しますか?」


「そうだねぇ~。。。こんなに曲がって生えていたんじゃ材木としての価値もない。」


そう言って人間達は去っていった。


。。。そうか!?

そうなのか!!

初めて知ったよ。

ボクは。。。価値のない樹だったんだ。

だから兄弟達のように 人間の役に立つことができなかったんだ。

どんなに どんなに夢を見ても

ボクの夢は叶えられなかったんだ。


ボクはその夜 

生まれて初めて 大声をあげて泣いた。


落ち葉の季節じゃないのに 

はらはらはらはらと 葉が散った。

ボクの木の枝に巣作りした小鳥達は

何事かとびっくりして 身を震わせた。


それからのボクは

風と戯れることも

小鳥達の歌声を聴くことも

なんだか面倒くさくなって

ただひとり 空ばかり見上げていた。


『ボクはいったい 何なんだろう?』


『ボクは どうしてここにいるんだろう?』



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それからしばらくして また人間達がやってきた。


「ほら この樹があると噴水が作れなくなっちゃうんですよ。」


「う。。む。。でもなかなか立派な樹じゃないか?」


「立派ですが こんなに曲がって四方八方に生えていちゃぁ。。。使い道がないんですよ。」


「そうだなぁ。。切るか。」


わんわんわん!!

子犬が駆けてきて

小さな男の子がそれを追いかけてやってきた。


「おじいちゃん何してるの?」


「おいおい。こんなところまで来ちゃ駄目だよ。車のところで待ってなさいと言っただろう?」


「だってつまんないよ。おじいちゃんは公園に行こうって言ったのに。。。ここにはブランコも滑り台も無いじゃんか!!」


「いや。。ここがもうすぐ公園になるんだよ。」


男の子は きょろきょろ辺りを見回した。


「ふぅん?。。。ここが公園になるの?」


そうつぶやいて 男の子はふとボクを見あげた。

そして あっという間にボクの足元に駆け寄ったかと思うと

よいしょ よいしょ よいしょ。。。

ボクの体に登り始めた。


「おじいちゃん!!すごいよ!!ライオンの背中に乗ってるみたいだ!!

ねぇ。。見て!!見て!!

あっちの樹の枝はまるでドラゴンみたいだよ!!

すごいや。すごいや~。

こんな面白い樹 見たことないよーーー!!」


男の子は 歓声を上げてボクの体中を探検して回った。



それから半年後

小さな森の中に 小さな公園ができた。



ボクは 公園の真ん中で

大きく 大きく腕を広げて 

子供達の相手をする。


風が 優しくボクの枝を鳴らす。

ボクは嬉しくて 

さわさわさわと 風と踊る。

小鳥達が ボクの枝葉に隠れて歌い出す。

ボクは楽しくて

ぱらぱらぱらと 拍手する。


街のはずれの 小さな小さな森で


長い長い。。。

ながーーーい時を経て

ボクは ようやく【ボク】を見つけた。




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